2007年12月23日
首相の立法指示発言を受けた原告団弁護団声明
薬害肝炎全国原告団
代表 山 口 美 智 子
薬害肝炎全国弁護団
代表 鈴 木 利 廣
いよいよ政治が大きく動き始めました。国民世論を背景にした今後の国会の動きに期待します。
1 今般,福田首相が全員一律救済を内容とする立法を指示しました。弁護団は,これを大きな一歩であると評価し,薬害肝炎問題の解決につながることを期待します。
2 私たちはこの薬害の解決の理念を以下のように考えます。
(1) 厚生労働行政が国民の命を大切にし,切り捨てにしないこと
(2) 薬害被害者が安心して暮らせること
(3) 薬害が繰り返されないこと
本法律が国の責任を踏まえ、上記理念を実現しうるものとなるよう,福田首相は一刻も早く原告被害者らと面談し,被害の声を聞くべきです。
3 C型肝炎は進行性の病気であり,被害者原告は心身ともに多大な労苦を強いられています。できる限り早期に法律が制定されるよう党派を超えた真の解決・救済のための立法となることを望みます。
以 上
11月7日に、大阪高裁が、正式に和解勧告をしたことを受け、本日、名古屋高裁に対する和解勧告の上申書を提出しました。
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平成19年(ネ)第788号
薬害肝炎損害賠償請求控訴事件
一審原告 原告番号1番 外7名
一審被告 国 外3名
2007(平成19)年11月9日
名古屋高等裁判所 民事第2部 御中
和解勧告を求める上申書
一審原告ら訴訟代理人弁護士 柴 田 義 朗
同 堀 康 司 外
第1 上申の趣旨
一審原告らは、貴裁判所に対して、薬害肝炎訴訟の早期全面解決のため、早期に和解勧告をされるよう上申致します。
第2 上申の理由
1 一審被告らの法的責任が明確であること
薬害肝炎訴訟は、2002(平成14)年10月大阪、東京の両地裁を皮切りに、福岡、名古屋、仙台の各地裁に提訴され、全国5地裁で審理されてきました。昨年6月の大阪地裁判決、8月の福岡地裁判決を始めとし、東京、名古屋の各地裁でも判決が言い渡され、本年9月7日の仙台地裁の判決により、全国5地裁の判決が出そろいました。
大阪、福岡、東京そして名古屋地裁判決では、国の杜撰な薬事行政が指摘され、国の法的責任が認められました。
他方、9月7日の仙台地裁判決は、国の法的責任を否定しましたが、先の4地裁判決と比較しても、判断の前提となる重要な事実を見落としているなど、極めて不当な判決であることは明白です。
国の責任を認めた4地裁判決により、国の法的責任は明確になりました。
2 早期解決の必要性
薬害肝炎訴訟の一審原告らは、その多くが20年以上前にC型肝炎に感染しており、慢性肝炎、肝硬変へと日々病状が進行しています。既に提訴から約5年が経過し、この間にも、病状が悪化し全国で5名の原告が亡くなっています。名古屋原告の中にも、すでに肝癌を発症するまでに病状が進展した患者が含まれており、本件の解決はもはや待ったなしの状況にあります。
3 高裁における審理状況
現在、福岡、大阪、東京、名古屋の各地裁・高裁において、また、仙台高裁において、審理が行われています。
大阪高裁は9月14日の口頭弁論期日において「10月15日までに原告被告から和解案を提出してもらい、双方から意見聴取を行い、少しでも和解解決の可能性があれば和解勧告を行いたい。」と述べました。この大阪高裁の意向をふまえ、全国の原告が協議して作成した「和解骨子」を、10月15日に提出しました。その後、大阪高裁は、原告被告双方から和解解決に向けた意見聴取を行い、その結果、和解の席につくという被告らの意向表明があり、和解調整の可能性があるとの判断に至り、11月7日の口頭弁論期日において和解勧告を行いました。
福岡高等裁判所に対しても、10月15日に和解勧告を求める上申書を提出しました。
4 政治情勢
与野党ともに、肝炎対策プロジェクトチームを立ち上げ、肝炎治療の問題のみならず、薬害肝炎訴訟の解決を視野に入れた取組が進んでいます。
民主党は、10月2日に特定肝炎緊急対策措置法案を参議院に提出し、今後、厚労委員会、本会議において審議されることになります。
与党プロジェクトチームも、肝炎治療費助成に向けた予算措置について検討を開始しています。また、10月10日、原告らと面談して被害実態の聴き取りを行うなど訴訟解決に向けて動き出しました。
その上で、福田内閣総理大臣は、「薬害肝炎問題について国に責任がある」と発言し、舛添厚生労働大臣も、11月2日「訴訟については11月中に解決したい」「国に責任がある以上謝罪するのは当然である」と述べた上、11月7日午後、原告らと面談し、和解協議に誠実に対応し早期解決を目指すことを表明しました。
5 結論
このように、訴訟において審理が尽くされ全国5地裁の判決が出そろい、大阪高裁が和解勧告を行うとともに、世論・政治の場において解決の機運が高まっている今こそが、薬害肝炎訴訟を全面解決するにふさわしい時期というべきです。
そして何よりも、C型肝炎が進行性の疾患であり、原告らの病状が日々進行していることから、もはや残された時間がありません。
そこで、貴裁判所において、和解勧告を求める原告らの強い思いを正面から受け止めていただき、薬害肝炎訴訟の早期全面解決のための和解勧告をされるよう本上申を行う次第です。
以 上
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(弁・堀)
大阪高裁が正式に和解勧告をした11月7日に、衆参両院の自民・公明・民主各党の厚生労働委員会理事が共同で、舛添厚生労働大臣に対し、薬害C型肝炎訴訟の全面解決を申し入れ、原告団との面会を要請しました。
これを受けて同日、全国原告団は、衆議院第一議員会館内において、舛添厚労大臣とはじめての面会をしました。名古屋からは、金田和子さんが参加しました。

○写真:大臣に要請書を渡す全国原告団代表の山口美智子さん
(弁・
堀)
名古屋大学法学部で薬害肝炎の講義をしてきました。
感染者リスト隠し問題がマスコミで大きく取り上げられている中での講義だったので,学生の関心も非常に高かったです。
薬害肝炎事件の概要と,各地裁での判決内容を弁護士から説明したあと,原告の金田和子さんから体験談を語っていただきました。
金田さんは,感染によって健康をむしばまれて苦しんだこと,同じ病気の人たちが辛い治療を受け,命を落とした人もいること,裁判での被告の心ない対応,支援の人たちに勇気づけられたこと,実名公表を決意した理由,解決に当たって望むことなどを語りました。
学生たちは金田さんの言葉を真剣に聞き入り,すすり泣く声も聞こえました。


(弁・竹内)

平成19年9月17日(祝)猛暑日
東京永田町の星陵会館において報告・決起集会が行われました。
薬害肝炎弁護団石井麦生弁護士からは、仙台地裁判決があろうと、先の4地裁によって国の責任は揺らぎないものとなっているとの総括がなされました。
一方、B型肝炎弁護団奥泉尚洋弁護士からは、平成18年6月の最高裁勝訴判決を経ても何も変わらない国の対応への批判がなされました。
運動の現状と課題について、鈴木利廣弁護士より、「厚労官僚のすさまじい抵抗に対するには厚労大臣の政治決断しかない。そのためには司法と国会の圧力が不可欠だ。大阪高裁は和解へ、全国におけるリーダーシップを発揮しようとしている。」との提言・報告がありました。
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原告の声は切実です。
・7年間何度も緊張する場面があった。支援がなかったらとてもむりだった(東京原告さん)。
・これまで、一つずつ壁が切り崩されて前進してきた。心を一つに思いを一つにすれば実現する(仙台原告さん)。
・3日間、土砂降りの雨のなか、座り込みをした。厚労相の人に『お願いします』といってビラを配って、受け取ってもらえたら『ありがとうございます』と言うのはとてもつらかった。被害者である私たちが加害者である人たちにどうして何度も何度もお願いしなくてはならないのか。(九州原告出田さん)。
・国は分かっていたはず、分かっていた。30年経っても何もしない。
生体肝移植を受けた友人は今も重篤で苦しんでいる。原告及び原告以外の患者が安心して治療を受けやすくなるように(名古屋原告金田さん)。
・インターフェロン治療と訴訟が重なって、家族へのストレスのことや経済的にもインターフェロン治療を断念した。結局ウイルスは2か月で再燃した。政治解決が不可欠。大阪高裁で和解が示されたとのこと、横田裁判長を信頼している(大阪原告桑田さん)。
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集会には大勢の支援者が駆けつけて応援の声を届けていました。
支援する会東京、千葉、滋賀肝臓友の会、神奈川の薬剤師さん、東洋大片平教授、名古屋からはYELLの和田さん・・。
社民党の福島党首からは、今年の臨時国会での野党共闘による法案成立をお約束いただきました。
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最後に原告団代表の山口美智子さんが、「何度も何度も山を越えてもまた山が立ちはだかってきました。和解という最後の山を迎えている。和解なき抜本的解決はない。一刻も早い全面解決を」と呼びかけ、全員で「今こそ最終解決を」「今こそ全患者の救済を」と決起しました。
薬害イレッサ訴訟被害者近澤さんの「今山の頂に登っているかもしれない。霧があって今は見えないけれども、一気に霧が晴れて頂が見えるかもしれない」との激励が心に残ります。
弁護団榊原真実


2007年9月12日
コメント
薬害肝炎全国原告団
薬害肝炎全国弁護団
私たちが本年9月11日に行った和解勧告の上申に対し、本日、大阪高等裁判所より、当事者の希望を聴取した上で、少しでも和解の可能性があると判断したときには、和解勧告を行うとの意向が伝えられた。
被告国及び企業は、大阪高等裁判所のこの意向を尊重し、薬害肝炎訴訟の和解による早期全面解決に向けて努力すべきである。
以 上
仙台では不当な判決が出ましたが、その仙台判決においても、国の薬事行政が正しかったと認定しているわけではなく、企業に対する指導が不徹底であったと指摘されています。
被告企業の資料によれば、この「不徹底」であった間に、新たに90名以上の感染者が出たことが明らかとなっています。
過去4地裁判決は、この時期について、国の法的責任をいずれも認定していますが、仙台判決だけは、「不徹底」ではあったが違法ではない、という判断をしました。いずれの判断が正しいかは自明と言えます。
この件については、メディアにおいても以下のとおり詳報されています。
厚労省は、仙台の判決で「国主張が認められた」とコメントしているそうです。もし判決を全部読んだ上でそうコメントしているのであれば、名古屋判決が厳しく指摘した「厚生行政の基本的責務に反したものとして、非難を免れることはできない」との言葉が、今の厚労省にもそのまま当てはまると言わざるを得ません。
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薬害C型肝炎:仙台判決「国指導不徹底」時期に90人感染(毎日新聞2007年9月11日)
薬害C型肝炎訴訟の仙台地裁判決(7日)が、国の法的責任を否定しつつ「製薬会社への行政指導が不徹底だった」と指摘した時期に、少なくとも90人以上が汚染された血液製剤で肝炎に感染していたことが、被告企業の三菱ウェルファーマ(旧ミドリ十字)作成の資料から分かった。国の甘い対応が被害拡大をもたらしたことを示しており、原告側からは和解による救済を求める声が強まっている。・・・
(弁・堀)
■薬害肝炎ホットラインの実施について
○実施日時 2007年9月8日~9日(いずれも午前10時~午後4時)
○電話番号
052-963-9901(両日限りの特設番号)
○内容
C型肝炎の患者さんに対し、血液製剤(フィブリノゲン製剤・第IX因子製剤)投薬の有無の確認方法、C型肝炎の検査方法などを、弁護士がアドバイスします(無料)。
極めて不当な判決です。
率直に怒りの気持ちです。
裁判官の話は,今まで,大阪・九州・東京・名古屋と聞いてきましたが,今回の
仙台地裁の裁判官の話の内容は,上っ面だけで,内容がなく,本当にがっかりし
ました。
1番さんが製薬会社に勝訴しただけで,国には敗訴しました。これは,同じ被害を受けた原告として絶対に認められないし,同じ原告さんの気持ちを思うとつらくて仕方がありません。同じ薬を投与されて,同じ被害を受けているのに,責任が認められず,本当に悔しいです。
今回は国には敗訴しましたが,4地裁では勝訴しています。
大阪は国に責任があると明言しましたし,九州はFDAの取消を重視してくれました。東京では,裁判官が,薬害の本質がここにあると言ったことが私の中で響いています。そして,名古屋では,多くの原告が救済されました。
だから,私は,これでひるむことはありません。
4地裁で国に責任があると認められているので,これからも全面解決に向けて,全力で闘っていきます。
2007年9月7日
薬害肝炎名古屋訴訟原告 金田和子
2007年9月7日
判決に対する声明 薬害肝炎訴訟全国原告団
薬害肝炎訴訟全国弁護団
本日,仙台地方裁判所において,薬害肝炎仙台訴訟の判決が言い渡された。本判決は,全国5地裁に係属していた薬害肝炎訴訟の最後の地裁判決である。
本判決は,薬害肝炎被害に対する国の加害責任を否定した,極めて不当な判決である。その理由は以下のとおりである。
これまでの4地裁判決は,血液製剤による肝炎感染被害という本件薬害の本質に対する洞察に基づいて,国の法的責任を認めてきた。
大阪地裁判決は,承認当時から薬務行政の杜撰さを指摘した上で,集団感染発覚後の国の責任を断罪した。福岡地裁判決は,大阪判決同様,杜撰な薬事行政が継続していたことを受け止め,1977年の米国FDA承認取消以降の国の法的責任を認めた。東京地裁判決は,本件薬害が,広範な適応外使用の放置により拡大したとの認識のもとに,1987年,88年の国の警告義務違反を認めた。名古屋地裁判決は,肝炎感染の危険性を極めて重視し,フィブリノゲン製剤のみならず,第IX因子製剤についても,1970年代後半以降の国の責任を認めた。
これに対し,本判決は,旧厚生省が行ってきた薬務行政に対する批判的考察を行わず,血液製剤による肝炎感染被害拡大という本件薬害の本質に対する洞察を欠いたまま,有効性を過大視し,危険性を矮小化し,国の責任を否定した。
これまでの薬害肝炎4地裁判決が認めてきた国の加害責任は,かかる杜撰な不当判決によって,何ら揺るがされるものではない。
わたしたちは,4判決が積み重ねてきた国の加害責任に基づき,国及び製薬企業に対し,本件被害に対する全面解決を引き続き求めていく所存である。
以 上