平成17年6月1日、福岡地方裁判所にて、
薬害肝炎九州訴訟の第15回期日がありました。この日は、3名の原告の方の本人尋問が行なわれました。
3名の原告の方々は、血液製剤により肝炎に罹患した無念さや悔しさ、日常生活での苦しみ、治療の苦しみ、今後の生活や治療への不安等、それぞれの被害の実態について述べられました。
最初の方は、家族に期待されている家業の手伝いや家事を十分に果たせないことへの後ろめたさ、自分を責める気持ち、無理をしないようにという医師の言葉に、これをやっても大丈夫だろうかと不安になり、どうしても行動を抑制しがちであることなど、肝炎に罹患したために余儀なくされる不安や生きづらさを語られました。
二人目の方は、インターフェロン治療の副作用の辛さ、インターフェロン治療によってもウィルスが消えなかったことへのショック、家業を手伝うことができず、ご近所からも働かない嫁だと言われ、家族のためには自分などいない方がいいのではないかと、離婚することまで考えたこと等について、切々と訴えられました。
三人目の方は、結婚後も続けていた和裁の仕事が全くできなくなってしまったこと、家業の手伝いや家事もできなくなり、夫婦仲もぎくしゃくしてしまったこと、体調不良の原因がC型肝炎だと分かった今でも、家族に気を遣わせてしまって申し訳ないという思いで一杯であること、40代半ばにして、まだまだやりたいことが沢山あるのにできない悔しさなどを話されました。傍聴席からは涙を懸命にこらえる声が聞こえました。
今回の期日で、九州訴訟における原告18名中9名の方の本人尋問が終了しました。ちょうど折り返し地点を通過したことになります。
裁判所に隣接する弁護士会館で弁護団と原告の方々と一緒にお弁当を食べましたが、とても和気藹々とした雰囲気で(私は、名古屋から予告もなく飛び入り参加しましたが、とても楽しかったです)、原告と弁護士、原告の方々同士が支え合っていることを実感しました。
九州訴訟原告の方々、九州弁護団の皆さんに、薬害肝炎訴訟におけるパワーのお裾分けを頂いたような気がします。
(弁・舟橋)