5月17日に国会ローラーが行われました。
国会ローラーとは、衆・参議院の議員の皆様に薬害肝炎訴訟および被害の実態を理解してもらう為の活動です。全国各地から弁護団、支援して頂いている皆さん及び原告団の総勢約120名が集まり、朝9時から夕方5時まで、それぞれが4~5人のグループに分かれて活動しました。
私達は、弁護士、支援する会東京の学生さん、エールの学生さん、私の夫と私の5名のグループで、27名の議員の議員室に行き、面会のお願いをしました。参議院が本会議中であったことや、多忙等で議員の方々にはなかなかお会いすることが出来ませんでしたが、応対して頂いた秘書の方々が親切に接してくれて、話を聞いて頂き、とても良い印象を持ちました。
また、忙しい時間の合間をぬって社民党の福島みずほ議員と、民主党の山井和則議員と仙谷由人議員がそれぞれの議員室で、私達と話をする時間を作って頂き、とてもありがたかったです。
福島議員からは、「医療の充実が急務ですね。」と理解を示して頂けました。また「もっと具体的に詳しく知りたいので意見陳述書と、九州と大阪の最終準備書面を用意してくれますか?」と言われ、また、握手と「体に気をつけて頑張ってくださいね。」の暖かい言葉に、とても嬉しく、勇気づけられました。
また山井議員と、仙谷議員からも、多くの励ましの言葉を頂き、とてもありがたかったです。
また、各政党別のヒアリングが行われ、私は共産党と民主党に参加しました。
共産党では、2名の議員に話を聞いて頂き、熱心な話合いが行われました。民主党では9名の議員が私達原告の話に熱心に耳を傾けてくださいました。
私は主にインターフェロン治療の問題点などについて話をしました。「今のところ、インターフェロン治療でしか病気を治す方法がない。」「しかし、治療には副作用があり、完全に治る保証はなく、年間約80万円の治療費がかかる。」「副作用で仕事が出来ないと生活が出来ない。」「病気を治したいけれどそう簡単には受けられない。」「200万人以上の患者がいるが、どれだけの人が高額なインターフェロン治療を安心して、受けられるのだろうか。」「多くの患者が不安を抱きながら病気と向き合っている現実を知ってほしい。」などの話をさせてもらいました。
共産党の議員からも、民主党の管代表代行からも励ましの言葉を頂き、家西議員からは病気の理解と患者に対する数々の暖かい言葉に、かなり疲れていたのですが、気持ちがとても元気になれました。
欲をいうと、自民党とのヒアリングがなかったことを残念に思いました。
国会ローラーを通して改めて、勝訴しないと何も解決しないし、これからが勝負で頑張り時なので、多くの皆様と一緒に、自分に出来ることを精一杯活動しようと強く思いました。
2月28日名古屋地方裁判所において、 薬害肝炎訴訟、第一回目の原告本人尋問が行われました。2名の原告さんと私が証言しました。
傍聴に来て頂いた皆様、支えて頂いた皆様、励まして頂きありがとうございました。
朝から緊張しっぱなしでしたが、尋問を受けながら、「大丈夫だよ。後ろで見守っているから」と傍聴席からの温かい視線を沢山感じました。なんとか自分なりに頑張りました。
また私を担当して頂いた弁護士棚瀬先生には、準備段階から本当にお世話になりました。
感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございました。
証言の終わりに製薬会社と国に訴えました。また裁判長に思いを伝えました。
ここに書かせて頂きます。
製薬会社 三菱ウェルファーマに訴えます。
私はフィブノゲン製剤を投与されたせいで、肝炎になり一時は命を失いかけ19年間病気に苦しんできました。
あなた達が作った薬で病気になったんです。売血が材料でプール血奨で作った薬で病気になったんです。
私の健康を返してください。
私はお金儲けを優先し、命をないがしろにしたことが絶対許せません。
責任を認め謝罪してください。
国に訴えます。
国の準備書面に、私の今の病状が落ち着いているから病気が軽いと書いていますが、今の病状だけで判断しないでください。
発症してから19年間、肝機能の数値は良くなったり悪くなったりして、いつも不安と戦いながら生活してきました。
病気が悪くならないように食べものにも気をつけ生活を摂生し、努力して努力してきました。
病気に負けたくないから頑張って頑張ってきたんです。
だから、今の病状だけで病気が軽いなどと判断してほしくないです。
またインターフェロン治療でウイルスが排除出来ると書いていますが、治療を受けるのは私です。痛くて辛い思いをするのは私です。
副作用が体にどんな悪影響があるのかわからない、受けてみないと効くか効かないのかわからない、不安だらけの治療です。
そんな簡単に治療を受けてウイルスを排除出来るなどと言ってほしくはありません。
この裁判は薬害の責任を問う為の裁判です。
だから病状がどうかということと、国がしでかした薬害の罪の深さとは別問題です。
また治す方法があるからと言って薬害の罪が軽くなる訳ないです。
責任を認め謝罪してください。
裁判長に申し上げます。
私は発症してから今までずっと、何故肝炎になったんだろう。どうしてなんだろうと思いながら病気と闘ってきました。
私は自分の人生を薬害で病気になって、辛かった、悔しかった、とマイナスのイメージを抱いたまま生き続けたくはありません。
この薬害問題がきちんと解決されて、これからも病気に負けないように前向きに生きていきたいです。
自分が薬害で病気になって辛くて悔しくて悲しかった思い、
それに伴い家族に与えてしまった辛い思い。
このような思いは、もう誰にもさせたくはありません。
どうかこの思いをお聞き届け頂き、早期に解決できますことをお願い申し上げます。
*写真:薬害根絶誓いの碑(厚生労働省前)にて撮影(平成17年8月)
今後の日程も正式に決まりました。場所はいずれも名古屋地裁です。
次回は4月25日ですので、是非また傍聴にお越し下さい。
■薬害肝炎名古屋訴訟 第2回原告本人尋問
平成18年4月25日(火)午前10時開始
※今回同様に3名の原告さんが証言します。
※傍聴の方は午前9時30分ころまでに地裁西側までお越し下さい。
※当日の詳細は追ってお知らせします。
■薬害肝炎名古屋訴訟 第3回原告本人尋問
平成18年7月4日(火)午前10時~午後5時
2月28日、薬害肝炎名古屋訴訟の原告本人尋問が始まりました。
冷え込みの厳しい1日でしたが、朝からたくさんの方に傍聴にお越しいただきまして、本当にありがとうございました。満員の傍聴席より、原告さんに励ましのまなざしを送っていただいたことに、あらためて御礼申し上げます。
当日の様子ですが、まず午前10時から、名古屋原告9番さんが、帝王切開の際に投与されたフィブリノゲン製剤でHCVに感染したこと、そしてインターフェロン治療を開始したけれども、脱毛やうつ症状といった副作用が激しく、最後まで治療を受けることができなかったことなどを証言しました。9番さんの証言からは、20年近くの間、慢性肝炎による倦怠感におそわれ続ける日々を送らざるを得なかった、その悔しさがにじみ出ていました。9番さんは、最後に、公正なる裁きを望むという気持ちを裁判官に訴え、証言を終えました。
昼の休廷をはさんで、午後1時10分からは、名古屋原告8番さんが証言しました。卵巣嚢腫の手術の際に、止血剤としてフィブリノゲン製剤の投与を受けた8番さんは、すでに肝硬変と診断されており、肝癌の発症歴もあります。8番さんは、肝癌が再発するおそれに苛まれる日々を送っており、検査結果を聞くたびに感じる再発の恐怖を、淡々とした口調で語りました。8番さんは、最後に、せめて若い人には補償や治療をしてあげてほしいと述べて、証言を結びました。
これまでのお二人の証言の際には、プライバシー確保のために証言席の背後に遮蔽板が設置されていましたが、8番さんの証言終了後には、遮蔽板がはずされました。そして、実名を公表してこの訴訟を闘ってきた原告金田和子さんが、証言に臨みました。
金田さんは、卵巣嚢腫の手術の際にフィブリノゲンを投与され、その後、生死をさまようような肝炎症状を経て、現在も体からHCVを排除することができないままです。年齢的にも症状の悪化が心配されるようになり、今後の生活や治療に対する不安を抱えて過ごしていることを、緊張した面持ちで語りました。
金田さんは、19年間にわたって病状悪化の不安と闘い、体調維持のために必死に努力してきたことを振り返りながら、C型肝炎は治療可能な疾患であると書面で主張してきた被告らに向かって、「インターフェロンを受けるのは私。辛いのは私。簡単に治るなんて言われたくない。私の健康を返してください」と強く迫り、非常に厳しい表情で証言を結びました。
尋問終了後、桜華会館に移動して記者会見を行いました。金田さんが尋問を終えた感想を話した他、8番さんと9番さんから預かったメッセージを、尋問担当弁護士からそれぞれ紹介しました。地元報道機関各社のカメラが立ち並ぶ様子に、薬害肝炎訴訟がいよいよヤマ場を迎えたということを、弁護団としても強く感じました。会見では、長崎から応援に駆けつけてくれた九州訴訟原告の福田衣里子さんからも、熱いエールをいただきました。
引き続いて行われた報告集会でも、傍聴に駆けつけてくれた学生さんや支援者のみなさんが、傍聴の感想を話してくれました。最後まで満員の会場で熱気あふれる集会となりましたので、名古屋の原告さんも弁護団も大変に励まされました。本当にありがとうございました。
2月28日から名古屋でも原告本人尋問を開始するにあたって、薬害肝炎訴訟の概要をあらためてまとめてみました。傍聴の参考としていただけるとうれしいです。
●薬害肝炎訴訟について
<製剤概要>
血液凝固因子製剤(フィブリノゲン製剤、第IX因子製剤=クリスマシン・PPSB-ニチヤク)によるC型肝炎ウィルス(HCV)感染被害について、国と製薬会社(旧ミドリ十字=現三菱ウェルファーマ及びベネシス、日本製薬)の責任を問う薬害訴訟。
いずれの製剤も、多数の供血者からの売血をプールして製造されるため、HCV感染リスクが大きい(薬害エイズ訴訟と同様の構図)。
フィブリノゲン製剤(1964~)は、1977年には米国食品医薬品局(FDA)が承認を取り消すも、日本国内では1998年まで後天性低フィブリノゲン血症に対する承認が継続。この間、分娩時出血、手術時出血等に対して投与された(1980年以降だけでも30万人以上に投与、1万人以上が感染と被告三菱ウェルファーマが推計)。
第IX因子製剤(PPSB-ニチヤクは1972~。クリスマシンは1976~)は、血友病B(先天性血液凝固第IX因子欠乏症)治療薬として開発されながら、臨床試験資料すらないまま後天性疾患へも適応が承認され、エイズ問題を契機に加熱製剤が導入された1980年後半ころまで、非加熱の製剤が新生児・乳児期の出血等に投与された。
<訴訟経過>
2002年10月の東京・大阪提訴以後、福岡、仙台、名古屋の5地裁で合計94名が提訴(2月21日現在)。名古屋では2003年6月20日に第1次提訴後、第4次まで順次提訴し、現在9名の原告で訴訟中(係属部:名古屋地裁民事10部合議係)。
大阪訴訟は2006年2月20日結審(第1次結審対象原告13名について)、6月21日判決予定。福岡訴訟は2006年2月22日結審、8月30日判決予定。仙台では原告本人尋問終了、東京では原告本人尋問が進行中。
名古屋訴訟では2月28日、4月、7月の3回の期日に原告本人尋問を実施する。
●名古屋訴訟の現況(2006年2月24日現在)
原告9名(いずれも東海地方在住)
○男性2名・女性7名 ○年齢:20歳代~70歳代
○フィブリノゲン製剤6名、クリスマシン2名、PPSB-ニチヤク1名
○肝癌・肝硬変1名、慢性肝炎7名、無症候性キャリア1名
(弁・堀)