8月24日東京で毎年、薬害根絶デーが開催されます。1999年に、HIV訴訟が和解した時に、厚労省の敷地内に『薬害根絶「誓いの碑」』を建立して、この日が薬害根絶デーになりました。今年で第8回目になり、全国から、サリドマイド、スモン、イレッサ、筋短縮症、MMR、HIV、ヤコブ、陣痛促進剤、肝炎、タミフルの薬害被害者団体が一同に集まりました。また支援者の皆様、薬害肝炎訴訟を支える全国学生の会の皆さんが多く参加されました。
私は今回で4度目になります。朝の10時から、18時半まで、文部科学省交渉、厚労省前でのリレートーク、碑の前行動、厚生労働省交渉、集会、ビラ配りと各自がそれぞれの活動を行いました。私は主に文部科学省交渉と集会に参加しました。
文部科学省交渉では、被害者団体から「子供達を薬害の被害者にも加害者にもさせない為に、小学校から学ぶことが大事。教科書に薬害のことを載せるべきだ。また大学などの高等教育、生涯学習としても薬害のことを学ぶことが重要だ」などと交渉しました。
薬害肝炎訴訟の原告は、ほとんどが匿名です。肝炎は感染症なので、偏見と差別の壁があるからです。病気に対する偏見や就職などに対する差別は辛いです。肝炎は感染力も弱く、普通の生活では、ほとんど感染しません。他の薬害被害者も同じような悩みを抱えています。薬害がどうして起きたのか、何が原因なのか、これらのことを、きちんと解明して、教育されたなら薬害のことが、当たり前のように世の中に浸透し、偏見も差別も起きないと思います。健康な人が病気を持っている人に、優しく接する心を育てることが、本来の教育の姿だと思います。
根絶の碑には次のような碑文が刻まれています
『
命の尊さを心に刻みサリドマイド、スモン、HIV感染のような医薬品による悲惨な被害を再び発生させることのないよう医薬品の安全性・有効性の確保に最善の努力を重ねていくことをここに銘記する。千数百名もの感染者を出した「薬害エイズ」事件。このような事件の発生を反省しこの碑を建立した。 平成11年8月 厚生省』
厚生労働省が、国民に「薬害を起こさない」と反省し、約束したのに、イレッサや、タミフルなどの新たな薬害が起きています。肝炎においては、薬害HIVと、ほとんど同じ時期に起きた薬害なのに、何も解決していません。
人間が生きていくには、必ず、薬のお世話になります。薬は命を助けるべきもので、人の生き方を狂わせるものではないはずです。「薬害で悲しむ人間を作ってはいけない。」心底そう思います。
根絶デーに参加して、人それぞれが、他人を思いやる温かい心が養われたなら、どんなに良いことだろう。そうすることが薬害を起こさないことにつながるのではないかと思います。
2007年8月13日
国の控訴に対する声明
薬害肝炎訴訟全国原告団
代表 山 口 美智子
薬害肝炎訴訟全国弁護団
代表 鈴 木 利 廣
国は、本年8月10日、薬害肝炎名古屋地裁判決(2007年7月31日言渡)に対し、控訴した。
この控訴は、司法によって国の法的加害責任が4度にわたって断罪されながら、何の反省もなく控訴した点で、極めて不当である。また、再三にわたる原告団からの厚生労働大臣面談要請を拒否し、原告らの被害実態と一切向き合おうとすることなく控訴したことは、原告らの心情を踏みにじる行為として、到底許されない。
国は、控訴会見において、名古屋地裁判決を「医薬品自体には問題がなかったものの、医師が患者に安易に医薬品を不適正使用したとし、その点について国に指示・警告義務違反を認めるものです」と理解するとの認識を示した。
しかし、名古屋地裁判決は、医薬品が重大な副作用を有する場合には、厚生大臣は、副作用の危険性について明確な記載をさせる措置を採らなければならないと指摘した上で、その措置は「
重大な副作用を有する医薬品から患者の安全を確保するために不可欠のものであり、同医薬品は、このような措置を採ることによって有用性を肯定されるものというべきであるから、厚生大臣の上記措置は、製造承認と一体のものとして、行われなければならないものというべきである」(判決文p162)と述べ、重大な副作用に関する指示・警告措置を欠いた医薬品には有用性を肯定しえないことを明確に指摘した。それにも関わらず、「医薬品自体には問題がなかった」と述べる国の態度からは、今回の判決内容を真摯に検討した姿勢は全くうかがわれない。
また、国は、控訴会見において、「フィブリノゲン製剤訴訟・名古屋地裁判決」との呼称を用いたが、名古屋地裁判決において、フィブリノゲン製剤のみならず、第Ⅸ因子製剤についての法的加害責任を認定されていながら、かかる呼称を用いること自体、国が薬害肝炎被害についての法的加害責任を真摯に受け止めていないことを、如実に示している。
名古屋地裁判決は、薬害肝炎を引き起こした国の姿勢について、「
厚生行政の基本的責務に反したものとして、非難を免れることはできない」と厳しい叱責を加えた判決である(判決文p295)。この叱責を全く無視して、何一つ反省を示すことなく不当な控訴を行った厚生労働大臣の責任は極めて重大である。
我々は、現在もなお、厚生行政の基本的責務を理解しようとしない国に対して強く抗議するとともに、あるべき薬事行政を国民の手に取り戻すため、これからも全力を尽くす所存である。
以 上
7月31日名古屋地裁において第一陣原告9名に対しての判決期日が行われました。
太陽が燦々と降り注ぐ真夏の暑さの中、支援者の皆様、各地の弁護団の先生、全国の訴訟を支える学生の会の皆様、そして、各地の原告の皆様、また、多くのマスコミの皆様、お集り頂きまして、本当にありがとうございました。14時に開廷され、裁判長からの主文言い渡しに、私はどきどきしながら聞き入りました。
判決は全面勝訴です。
指示警告義務違反での勝訴です。
フイブリノゲン製剤で感染した原告が、投与された時期を問わず、すべて線引きされずに救済されました。
今まで大阪、九州、東京(製薬会社に対しては一部認められましたが)で棄却された第Ⅸ因子製剤のクリスマシンとPPSBニチヤクが、名古屋で国と製薬会社に責任があると明確に認められました。
画期的な判決です。
報告集会の席で私は皆さんの前に立ち、会場を見渡しました。皆さんの顔が笑顔でいっぱいでした。私も嬉し涙で、思わず「皆さん、おめでとうございます!」と申し上げました。
私は名古屋の原告のほとんどが救済されたことがとても嬉しいです。そして、この名古屋判決によって全国各地の原告さん全員が救済され、薬害で苦しんできたみんなの想いが報われることがもっともっと嬉しいです。
そして、この名古屋判決が、大きなステップとなり、この薬害問題が早期に解決できるきっかけになることが嬉しいです。
大阪、九州、東京で積み重ねてきた努力が名古屋で実った。そう思います。みんなの勝訴です。
判決を頂き、これからが本当の正念場になります。
早期解決を願い、これからも原告として精一杯活動しようと思います。
最後になりましたが、ご支援を頂いている多くの皆様、本当にありがとうございました。
名古屋の弁護団の先生方、本当にありがとうございました。
Yellの皆さん、勇気付けてくれてありがとうございました。
これからも、よろしくお願い致します。
名古屋判決期日は応援ありがとうございました。判決翌日から、全国原告団では、各党に要請活動を展開しています。名古屋からは、金田和子さんが上京し、必死の訴えかけを行いました。また、厚労大臣への面会を要請し、厚労省前にて抗議行動を行いました。
(写真はいずれも8月2日)
○
民主党小沢一郎代表(民主党本部)。薬害肝炎対策法案を提案していきたいと、力強い言葉をいただきました。
○
社会民主党 福島瑞穂党首(衆議院第2議員会館にて)。今週中にも党として厚労大臣に対し、原告との面談の実現と国の控訴断念を呼びかけていきたいと、おっしゃっていただきました。
○
新党日本 田中康夫代表(新党日本本部にて)。全面的な応援を約束してくださいました。また長野県知事時代に肝炎治療支援策を打ち出した経験を踏まえて、治療費支援が医療費削減につながることを、世の中に伝えていきたいともおっしゃっていました。
○厚労省前にて。
○報告集会(東京弁護士会内)
(弁・堀)
薬害肝炎名古屋弁護団では、名古屋訴訟判決を踏まえ、下記要領で薬害肝炎ホットラインを実施します。
○実施日時:8月1日(水)、2日(木)
両日とも午前10時~午後4時
○電話番号:
052-961-2411(両日限りの特設番号)
○内容
:C型肝炎の患者さんに対し、血液製剤(フィブリノゲン製剤・第IX因子製剤)投薬の有無の確認方法、C型肝炎の検査方法などを、弁護士がアドバイスします(無料)。