6月25日には、首相官邸前に関係者400名余りがつめかける中、全国原告団代表の山口美智子さんが塩崎恭久官房長官と面会し、薬害肝炎訴訟の解決に向けた政治決断を迫りました。
その結果、官房長官からは、解決に向けた検討をスピードアップするという会見コメントを引き出しました。
以下に、山口さんからのメッセージを転載します。
あと一押しのところまで来ていると思います。是非、引き続きご支援下さい。
~~~~~~~~
2007年6月27日
各 位
薬害肝炎「もう待てない!総理決断要求行動」参加の
お 礼
薬害肝炎全国原告団
代表 山口 美智子
25日、北海道から沖縄の全国各地から首相官邸前にお集まりいただいた皆さま、本当にお疲れ様でした。
当日、首相官邸で官房長官に合うところまでこぎつけたことを聞かれたとき、そして、私たち二人が官邸から出てくるのをずっと待ち続けていたとき、どんなにか期待をふくらませておられたことでしょう。
皆さまを失望させる報告となったこと、どうぞお許しください。小雨の降る中をずっと待ったあげくに、あっさり解散では、どんなにかご不満であったことと察します。原告一同、無念と同時に、応援に駆け付けてくださった支援の皆さまに顔向けができない思いで一杯です。皆さまに報告したあの瞬間、原告代表として私は、針のむしろに座らせられているかのようで死にたいぐらいの精神状態でした。しかし、私たち原告は、これまでも決死の覚悟で闘ってきたのです。これしきのことで逃げ出すわけにはいきません。
原告団は、今後も忍耐忍耐で走り続けていくことを25日の最後に確認しました。とは言え、多くの原告は体力体調がおもわしくありません。病状が重篤な原告もいます。そういう中で今後も闘っていかなければなりません。これまで原告の思いを共有し共に闘っていただいた皆さま、これまで同様お力をおかしください。
今回も、目に見える結果を得ることはできませんでしたが、多くの支援の皆さまに官邸前に集結していただいたことで、政府を少しずつ動かす大きなプレッシャーとなったことは間違いありません。本当にありがとうございました。
皆さま、薬害肝炎問題の早期全面解決に向けて、今後も変わらぬご支援をどうぞよろしくお願いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~
(弁・堀)
6月19日、全国で一斉に追加提訴を行いました。名古屋では2名の原告さんが、あらたに訴訟に参加しました。
今回の一斉提訴は、3月30日に政府・与党が、全国原告団に対し、薬害肝炎問題の解決を約束しながら、その後80日間にわたって、明確な取り組みをしないままであることに対する抗議の意味を含むものです。
本日、薬害肝炎全国原告団・弁護団は、安倍総理大臣に宛てて、再度、本件の早期解決に向けた決断を迫るべく、以下の再要請書を渡しました。
6月25日午後2時、この回答を受け取りに、官邸に向かいます。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
平成19年6月19日
薬害肝炎解決のための
再要請書
内閣総理大臣
安 倍 晋 三 殿
薬害肝炎全国原告団
代 表 山 口 美 智 子
薬害肝炎全国弁護団
代 表 鈴 木 利 廣
(連絡先) 東京都葛飾区西新小岩1-7-9-506
福地・野田法律事務所
弁護士 福 地 直 樹
TEL 03-5698-7511
FAX 03-5698-7512
私たちは、本年3月30日、薬害肝炎問題の解決に向けた政治決断のための要請をさせて頂きました。
そして当日、内閣総理大臣の代理として、下村内閣副官房長官に対し要請書提出した折に、「政府・与党一体となった今後の努力」をお約束頂き、私たちは政府のこの対応を信頼することで、3月28日からの厚労省前の「座り込み行動」を解除しました。
それから昨日まで、80日間が経過しました。
この間、与党・自民党は、再三の要請にもかかわらず原告団のヒアリングも実施せず、薬害肝炎問題解決のための施策も不透明のままです。むしろ与党プロジェクトチームにおいては、薬害肝炎訴訟への対応はしないとの方針であるとも伝えられています。
他方、薬害肝炎訴訟を担当する大阪高等裁判所は、この問題を訴訟上の和解によって解決することが望ましいとの立場を明らかにして、被告国に和解解決の打診をしましたが、被告国の訴訟担当者は、柳沢厚生労働大臣への報告もないまま拒否回答を行いました。
この間にも、九州原告団のおひとりが肝硬変で苦しみながら亡くなりました。いつ肝硬変・肝癌で死ぬのか、肝硬変・肝癌に移行してしまうのではないか、慢性肝炎に進展したら……、と不安な毎日を送りながら、この80日間を一日千秋の思いで待ち続けてきました。私たちには、もうこれ以上待ち続けることはできません。
内閣総理大臣におかれましては、薬害肝炎問題の全面解決のための政治決断をされますよう、改めて要請する次第です。
ご面談のうえ、お考えをお聞きいたしたく、来る6月25日(月)、全国原告団は首相官邸にお伺いいたします。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■名古屋原告概要
名古屋訴訟の現況(第一陣・第二陣合計。2007年6月19日現在)
*原告17名(いずれも東海北陸地区在住)
*男性4名・女性13名 *年齢:20歳代~70歳代
*フィブリノゲン製剤12名、クリスマシン4名、PPSB-ニチヤク1名
*肝癌・肝硬変1名、慢性肝炎9名、無症候性キャリア等7名
*実名1名:第2次:金田和子(かなだ・かずこ)さん、匿名16名。
*請求額合計:9億3500万円(※本日提訴分=6600万円)
◎7月31日午後2時第1陣判決言い渡し(4次提訴分までの9名について)
平成19年6月7日(木)に名城大学薬学部松葉教授のご厚意により、名城大学薬学部で講演を行いました。
当日は、長崎から遠路はるばる原告の福田衣里子さんが来てくださいました!
完成したばかりの真新しい新館の講堂で、なんと250名もの学生さん(大学1年生)が聴講してくれました。当初150名と聞いていたので、急遽レジュメを増刷して望みました。講演は、肝炎ビデオの上映、竹内弁護士による説明、福田さんのお話、という三段構成で、素晴らしいプログラムでした。
福田さんからは、インターフェロン治療のつらさのほか、医療という本来疑わないものから裏切られて人間不信になっていたけれど、支援してくれる人たちに出会えて、悪いのはごく一部の人なんだと分かって、この訴訟に関わってすごくよかったという思い、同じ患者さんで人生が狂わされて、辛い思いをしている人がたくさんいること、医療費助成が一刻も早く必要なこと、などを語っていただきました。
そして最後に、旧ミドリ十字によるフィブリノゲン販売を不審に思った薬剤師が投与患者をメモしていたことから投与事実が発覚した例もあった、皆さんには一本の薬で死に至ることがあるというこの話を将来思い出してほしい、とこれから薬学を学ぶ1年生さんたちに呼びかけていらっしゃいました。
福田さんの思いが薬学部の学生さん達にも伝わったことと思います!
(弁 榊原)
3月23日、 東京地裁において、薬害肝炎東京訴訟の判決が言い渡されました。14時に開廷の裁判所前には、全国からの弁護団、原告団が、また支援者の方々が多く集まって、傍聴券の抽選に約300人が並んだそうです。私は「原告さんみんなの被害が認められますように。国と製薬会社の責任を強く断罪してください。」と心の中で願い、その時を待ちました。判決は勝訴です。警告義務違反ということでの、勝訴です。大阪判決と福岡判決に続いて、三度、国と製薬会社に責任があると明確に認められました。また、第Ⅸ因子製剤も、初めて製薬会社に責任があると認められました。そして、判決文に「不適切な使用が繰り返されていたのに、何も対策をとらなかった。ここに薬害の本質がある」と明記されています。
しかし、残念で悔しい判決でもありました。それは、またもや薬害の被害を受けた年代別に線引きされ、救済される原告さんと、されない原告さんとに判断が分かれたことです。私は、いつも思います。どうして、何も落ち度もなく病気を背負わされ、こんな悔しい思いをしなければいけないのだろう。原因があって悪しき結果が生まれた。その原因をもたらした者が罰せられるのは当たり前ではないのか。薬を投与された時期の違いなど、被害を受けた命の重さに比べたら、比べようのない小さなことではないのか。何が一番大事なのかと。
3月26日、公明党とのヒアリングが行われました。元厚労省大臣の坂口力議員と、赤松正雄議員をはじめとして、数名の議員の方々が、私達の被害のこと。病気に対する不安などについて、真剣に聞いてくださいました。また27日には、民主党とのヒアリングが行われて、菅直人代表代行をはじめ、仙石由人議員、山井和則議員、多くの議員の方々が「この問題を、具体的に解決する為に、どうすれば良いのか。」を真剣に考えてくださいました。
今回の判決後も、柳沢厚生労働大臣が被害者との面談を拒否して、何も問題解決を図ろうとしないことに、弁護団と原告団は、座り込みの抗議をすることを決意しました。28日から30日まで、もしかしたら解決するまでの決死の座り込みでした。スローガンは、すでに亡くなられた東京原告さんの最後の言葉です『命をかえせ!』私も訴えました。
原告みんなが涙で声を震わせながら、訴えました。くたくたになって訴えました。
「返せ 私達の時間を」「返せ 私達の日常を」「返せ 私達の夢を」「返せ 私達の人生を」「返せ 私達の命を」「厚生労働省よ 私達に謝罪せよ」「厚生労働省よ 私達の声を聞け」「厚生労働省よ 命を守れ」「厚生労働省よ 肝炎患者の命を守れ」「厚生労働省よ 肝炎患者を見殺しにするな」
座り込んで活動しているところを、都知事候補の方々、横井久美子さんはギターを弾きながら涙ながらに歌で励ましてくださり、また川田龍平さん、イレッサの近澤さん、薬被連の方々、民主党の管直人代表代行、山井議員、家西議員、共産党の小池議員、社民党の阿部議員など本当に多くの方々が励ましに来てくださいました。そして、最後には、民主党の小沢一郎代表が来てくださり、大きな手で握手をしてくださいました。他にも、著名人の方々と、各支援団体からの温かい励ましを頂きました。マスコミの方々には、テレビ、新聞などで、広く世間に知らせて頂きました。
そんなさなか、国が控訴するとの情報が入り、みんなが意気消沈しかけたのですが、29日に公明党が、肝炎対策プロジェクトチームを組んで、厚生労働省ではなく、官邸に「薬害肝炎問題の全面解決を求める申し入れ」をしてくださいました。そして、30日、鈴木弁護団代表と山口原告団代表が、官邸に赴き、下村官房副長官に対して、要請書を渡すことができました。これに対し、安倍総理大臣からの言葉として「自民党にも働きかけて、問題解決に向けて、話しあっていきます。」との回答をもらうことができましたのです。
官邸から戻った鈴木弁護団代表と山口代表が、みんなの前で、その報告をした時、その場は喜びに変わりました。私は、いつも、すぐに泣いてしまうのですが、周りを見ると、原告のみんなも、それから、普段は沈着冷静な弁護士さん達も、目を赤くうるませていました。みんなの顔が涙でふやけていました。
今、やっと、解決の扉が開いたところです。裁判はまだまだ続きます。戦いはこれからが本番です。でも、大きく前進しました。原告が座り込みをして訴えて、また弁護団が各党に働きかけて、国を動かしました。このことを今は素直に喜びたいと思います。
最後になりますが、この文章を読んで頂いた皆様、薬害は決して他人ごとではありません。過去の出来事でもありません。どうか、ご理解、ご支援 ご協力をよろしくお願い致します。
3月23日に国・製薬企業の責任を認める判決が下されたのを受けて,名古屋弁護団は,3月24日,25日にホットラインを開設しました。
2日間で79件の問い合わせ,相談が寄せられました。その中には,血液製剤が投与されたと思われる患者さんもいらっしゃいました。
相談者からは,
・肝炎であることを誰にも話すことができない。のけものにされるのではないか心配。
・歯医者で診療拒否された経験がある。
・治療費が高くてインターフェロン治療を受けられない。
・年金生活で治療費の負担が大きく、生活が苦しい。
・いつ癌ができるか不安。爆弾をかかえているよう。
・今は慢性肝炎だが、今後の症状の進行が不安。
との経験や不安が訴えられました。
(弁・竹内)